1か月のこと
大学は春休み、すっかり静かになった。
授業の学生が久々に訪ねてくれる
「そういば、奥さんは僕のレポートを読んでくれましたか?」と。
「感心して読んでいたよ」と僕。
「講師が二人いるみたいですね」と彼は言う。
なるほど、そうかもしれない。
僕も寺子屋をお手伝いするように
彼女も授業を裏から支えてくれていた。
見抜かれていたようだ。
一緒に授業の写真を見ながら
「不思議な授業だったなあ、不思議だったなあ」という。
彼の表情が本当に変わっている。
そして、彼自身が書いた文章について
「1か月前に書いたのを読んだら、昔の日記のようでした
今の僕なら、こんなこと書かないけどなあ」と。
不思議だけど、この気持ちはよく分かる
まさに「話す」ことは「放す」ことなのだ。
先生もよく言っている。
みんな、よくはなし、よく聴いた。
あと1か月で卒業式だ。