早足回避の思い出
車いす学生とおしゃべり
そこに別の車いす学生が通りかかり、話の輪に加わる。
「苦手な人の前を通る時は
車いすのスピードを上げてしまいますよ」
「車いすも身体の一部ですからね」と
和やかな笑い話になる。
そんな話を聴きながら、昔のことを思い出す。
僕が小学生の頃
サッカークラブの監督が
鬼のような雰囲気の人で
殴る蹴るもあり、とても苦手だった。
しかも、僕は目をつけられてしまい
更には監督の家の前を通らないと、学校に行けないのだ。
いつもドキドキの通学だった。
早足で通り過ぎたり
雨の日は傘で顔を隠したり
帽子を深くかぶったり、していたのである。
思えば笑い話みないなものだが、
素直な対処法だったのだ。
今、会ったらどうなのだろうか。
あちらは忘れ、こちらは覚えているからタチが悪い。
暴力構造の根深さよ。
早足で通り過ぎてもいい
親しげにくっついてきてもいい
それぞれの距離で付き合い
仲良しがいい。
そんな集まりをつくっていこう。